決断をやる気の現れだけで終わらせない為に

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決断をやる気の現れだけで終わらせない為に

商売というのは最善の準備をしたとしても、結果が必ず良くなるわけではありません。

良くも悪くも思う通りの結果にならないことの方が大半でしょう。

常に人事を尽くして天命を待つの繰り返しでしょう。

だからこそできることは、最善の準備の質を上げることです。

その為にはPDCAサイクルを早く回すなどの努力が必要です。

ですが、やる気だけのPDCAでは意味がありません。

仮に決断そのものや、決断にいたる思考・決断材料の質が低ければ間違ったサイクルが回るのでより結果が悪くなることも往々にしてあります。

やはり数値に基づいたPDCAサイクルが必要です。

しかしあくまでも購買の主役は気まぐれなお客様であり数値を変化させる関数が複雑すぎて思考が止まってしまうことが多々あります。

しかし、データがあふれデータ収集そのものの価値が下がるなか、技術としての意思決定の価値は高まっています。

であれば、挑戦しない手はありません。

その為の考えのバックボーンになる手法が具体的にとりあげられた本をご紹介します。

 

―ケースで学ぶ意思決定の手法―定量分析実践講座  福澤英弘著

 

もう10年以上前に、会議の前にふらった立ち寄った本屋で購入して、あまりに面白かったので、会議中にずっと読んでいた記憶があります。

話としてはサラリーマンが脱サラして実家の店をコンビニにし、事業を拡大していくなかで様々な案件の決断をしていく思考プロセスを解説するという流れです。

その決定の根拠に定量分析を使い決定の成功確率を上げていく。というストーリー仕立てになっています。

案件そのものは小売りで仕事をしていれば似たようなケースが思い当たる日常のケースです。

後半は経営者判断が主になる案件も出てきますが、競合はこのような判断をして経営をしているのかもしれないという視点が持てれば、自分の選択肢も厚みがでます。

 

ざっと目次を書き出してみましたが身近なコンビニという業態で起こるケースでどのようにデータを定量的な情報にして判断材料にしていくのかの思考のプロセスがわかりやすく解説されています。

ビジネスパーソンにとっての合理的意思決定の意味
リスクのもとでの意思決定 限られたデータから全体像の類推
    バス通勤―データを情報に
 フランチャイズの選択―トレードオフ
    新店舗立地の検討―回帰分析
確実性のもとでの意思決定 確実性の計算
    桜最中の販売―限界利益
    社員研修の実地―機会費用
    冷蔵ケースの入れ替えーサンクコスト
    冷蔵ケース入れ替えの再検討―CF・NPV
確実性のもとでの意思決定2 複数代替案からの選択
 資金運用―独立案:効率性指標による優先順位づけ
 初詣用仮設店舗―排反案 絶対額での選択
 店員の有効配置―混合案 限界効率の比較
意思決定原理を定める
 出店立地の拡大―リスクと不確実性
不確実性のもとでの意思決定
 景気予測の購入―ディシジョンツリーとベイジアン決定理論
 店舗買収の検討―感度分析
 店舗買収家定の延期―リアルオプション
 調理商品取り扱いの検討―システム思考 システムダイナミクス
 競合との商圏争奪戦―ゲーム理論

難しい言葉や数式がならびそうな目次ですが、基本は思考プロセスがメインです。

現場の人間は細かい数値を日々集め追い続けることは難しいですが、赤文字のケースは現場で即役立つと思います。

なにより大まかな思考方法と分析手法を知っていれば、経営陣の意思決定に対する理解度向上や自分で決断する時に商売の本筋と離れていないかの簡易チェック、またより確率の高い案の提案や適切な情報共有依頼などができます。

 

僕たちは流行りのデータサイエンティストになろうとしているわけではありません。

細かい計算やプログラムの組み立ては得意な人にまかせるとして、方向付けや進捗の確認、決断の根拠に「人となり」が出る=価値がでる のですから自分の想いを燃焼させる為の燃料の一つに定量的な分析思考の利用は欠かせないと思います。

いつだってそうだった先の読めない時代に仲間と共有可能な自分の判断基準・根拠を持つというのは、より成功確率を上げる第一歩だと思います。

頑張っていきましょう。

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