会社員の責任の取り方って何?

おすすめ本
Image by Gerd Altmann from Pixabay

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サラリーマンをしていると「責任を取る」という単語を耳にします。

上司から責任を取れ・どう責任を取るんだと言われたときはどう対応しますか。

まぁ、主にただ怒っているだけでその上司も責任の取り方など精神論以外説明できないでしょうから、ひたすら謝るか対応改善策を述べてその場をしのげればOKということがほとんどだと思いますが。

しかし本当の意味で我々にとって責任とはなんでしょうか?

大人ですから自分の言動に責任をとるのは当たり前だと思うのですが・・・

 

私は基本的に会社員の責任は説明責任だと部下にはいっています。

ただ説明責任とは何か?何をすれば説明責任を果たしたことになるのか?

一段掘り下げて考えると曖昧な概念だと気づきました。

なぜ責任という言葉は曖昧なのか、説明できないのか。

この本を読めば責任とはなにか。なぜ果たせないのか理解できると思います。

チェーンストア 組織の基本   成長軌道を切り開く「上手な分業」の仕方

渥美俊一 2008年11月発行 ダイヤモンド社

 

最初にお断りしておくと渥美さんのこの本を初めとする著書の多くは、いわゆるビジネス書と違い基本的にチェーンストアの取説なのでストーリーや情緒に訴えるという物語、という観点からはおもしろくはありません。

まさに理想の経済民主主義の発展に必要なチェーンストアの設計書、そのための取り扱い説明書のような内容です。

読書として楽しめなくはないですが、あくまで実務家のための手引書です。

ですから目の前の現状が明日から明るくなる類の本でもなく、もしチェーンストア志向のない会社にお勤めなら自分の組織が社会悪なのではないかと思ってしまうほど容赦ありません。

なぜなら渥美さんの定義するチェーンストアは経済民主主義!の最適解で50年計画で作り上げていく社会思想だからです。

そのための人材確保・育成にも20-30年かかり、業態すら必要上、途中で大きく変わらざるをえない、最低でも2代にわたる壮大な計画だからです。個人の数字がどうこう今期の数字どうこうという話ではありません。この本も自分が働いている現状や表に出てくる社会環境からするとただの理想論・机上の空論に思える原則が頻出します。著者の実績がなければ素人のたわごとに思えるほどです。ですがその理想に向かい50年批判や無理解に耐えながら改善する企業群が一方にあり、これは無理だと今に妥協し続ける企業では勝負になるはずがありません。

折角、提示された理想と実現手段は学び実践する価値があると思います。

自分の仕事・存在が社会的価値があると自己肯定するためにも、また小売業というものが社会的地位を向上するためにもそこで働く人間が学習し向上しなければならないと思うのです。

この本の大きな章立てとしては

①組織管理の意味

②分業の原則

③組織の動かし方

④スペシャリストの任務と職務

⑤組織の開発

⑥労働環境の改革手法

⑦トップマネジメントの役割

となっています。

どの章も本当のチェーンストアを実現するためのに必要な組織を構築するための手引きですから全て連動していますし同時進行で将来のゴールへ向け進めなければ崩壊してしまうので簡単に腹落ちしません。言っていることは理解できるがそれが本当に我が社・私にできることなのだろうかと思えるメニューがずらりと並んでいます。ただ日本を代表する名だたる企業がまだ小さかったころからこの理論の実践に取り組み今の商業界を作っています。組織とは戦略を実現化するための手段ですから、将来の夢と今できることの指針にはすることができると思います。

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内容は盛りだくさんですが今回は「責任」についてでした。

まずこの本では単語の定義を言葉と実態ができるだけ明瞭になるよう名付ける⇔定義することの重要性を何回も強調しています。

そして責任の定義ですが「職務上の責任と義務とが明確になる」という原則に関連して出てきます。

・義務と責任とは果たし方が異なる別の種類の職務である。

・義務とは予め定められたキマリどおりに完全実行するもの

・責任とは、本人自ら何らかの決定をすることで目標を実現すること。

つまり義務は命令通りの「道具と動作と手順」で作業結果を出すことで、

責任とは制度化されていない部分で新しい決定で現状を変更し目標とする状態を実現することで、

果たされるものだと明解に定義されています。

つまり責任(義務も)は職務を与えられた時点で命令する側される側双方が了承していないと発生しないのです。そのおおもとにはその組織の組織管理論があるはずで、そこが確立しようとしていない組織において職務上の責任などとりようがないということです。

よくある、在りもしない問題を作り出して大騒ぎするパターンの一例に過ぎないわけです。

これを読んで「まぁそうだよね。でも現実はね・・・」となるのが我々凡人ですがチェーンストアの本質「分業によるより良い社会の実現」理論ではその現実を改革していくための方法がクリアに示されています。

多くの職場では組織分業論・組織管理論に基づかない、精神論が今でもまかり通っています。

日本の、主にサービス業における生産性の低さはここに原因があると思います。

ITやDXなどで効率化を図ろうともその根本になる組織論が根付いていかなければ、決して生産性は上がらず人材の育成はできず、小売りサービス業の社会的地位はあがりません。

ましてやそこで働く従業員の自己肯定感があがるはずもなく、本来果たされる社会貢献もできずじまいになってしまします。

多くの真剣に仕事に携わっている人は組織図の場所に関係なく自分の為・会社の為・お客様の為に一生懸命日々働いています。チェーンストア理論はその働きを無駄にすることのないように組織論をきちんと組み立て改革することで関係者全員が幸せになるように練り上げられた理論です。

完璧な理論はありませんが、よりましになっていく一歩にこの本は助けになってくれると思います。機会があればぜひ一読されることをおすすめします。

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終わりに

この本で読書好きとして感銘を受けたのが読書をする意味です。

よく言われる読書の効能は語彙を増やすことですが主に世界を広げることに繋がるからという趣旨で使われています。しかしこの本では、言葉をきちんと使い分け定義(他人に伝わるように)がきちんとできるように言葉の数が必要なのだとしています。この部分は内容に比べて書きぶりに少し渥美さんの人間ぶりが見えるようで私は好きでした。

少し皮肉も聞いていて「明るい職場」の定義までされています。そして実際にそれをどう組織としてのキマリにするのかも手引きされています。

この定義が常識になるように頑張りましょう!

明るい職場の定義

①命令が的確・完全・適切

②完全作業をすれば、難易度と量に応じた評価が行われ

③誰もが納得できる報酬と昇格昇給のチャンスがあり

④自己育成のチャンスとして理論勉強と配転ができ40代半ばまで計画が提示されている。

⑤職場の照度・温度・湿度が適切で衛生条件が労働環境として適切で

⑥必要な健康診断が確実に周期化され

⑦過剰労働・労基法違反がない

 

追記

173頁で言及されているバイヤーとマーチャンダイザーの職務の解説書はこちらです。

 

 

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