粗利20%の商品Aと、粗利25%Bの商品どちらを仕入れる方が儲かるのでしょうか?
正解は・・・売れ数を考えないと解りません!
例えば、どちらも売価100円の商品で100個仕入て、1日にAは10個、Bは8個売れたとします。
粗利額はどちらも、200円です。売上はA1000円、B800円・販売原価はA800円、B600円です。
時間軸も考えよう
単純な売価・粗利だけでは、商品の評価は難しいということがいえると思います。
そこに、時間軸という評価基準を加えましょう。よく使われるのが、
回転率・在庫日数です。
回転率=売上÷平均在庫 平均在庫=(期首+期末)÷2
在庫日数=在庫÷平均日商=営業日数÷回転率
管理面での使い方は、在庫をどこまで持っていいのかを規定する、
在庫高予算との整合性をとるのに使います。
在庫が見た目で多い、少ないと判断するだけでなく(これはオペレーションの判断です)、金額でコントロールできているのか確認しましょう。
例 当月営業日数30 経過営業日15
売上予算30000 実績15000
在庫予算15000 在庫高18000
利益率予算20% 実績20%
の時いくらまで仕入られるか計算しましょう
答
必要売上15000
対応する売上原価15000×0.8=12000 在庫超過額3000
仕入可能額 12000-3000=9000
A、9000単位円
では、最初に戻って2つの商品のうち、どちらを陳列するかなどに参考になる数値はなんでしょう。
それが、交叉比率です。
交叉比率ってなに?
計算式は、利益率×回転率です。
式の意味は最初に投資した金額(仕入)が一定期間に何倍になるかということです。
商品Aは、
交叉比率=0.2×3.0=0.6
(最初に投資した100円が30日間に60円の利益を産む)
商品Bは、交叉比率=0.25×2.4=0.6 (同上)
ケースバイケースですが、儲ける力は同じなので同条件の代替え商品が有るならば、売場に変化の出るAの方が良さそうだ!などの判断の根拠になります。
※資金回転率の問題ですが、同じ期間で同粗利額の商品でもロットが違えば、交叉比率は変わってきます。
仮にAをロット50、Bをロット16とすれば、
Aは5日・Bは2日で売れるわけですから、
回転率はA=6 B=15となり
交叉比率はそれぞれA=0.2×6=1.2 B=0.25×15=3.75となり、
Bのほうが3倍以上資金効率が良いとなります。
これを上手に利用したのが回転寿司のチェーン展開モデルでマグロなどの資金滞留の長い商品の現金化を容易にしました。ただしスーパーの営業部隊の実務上ではロットは考慮していません(個店のP/Lに変化がない)
交叉比率の発展形に、交叉比率に構成比を掛けた「利益貢献度」があります。
売場面積の決定などに使う指数ですが、そんな数字もあるんだなと覚えておいて下さい。
ここまでが交叉比率の基本です。
では交叉比率を使って、売上・利益・在庫の各予算を満たす売価・在庫日数を計算してみましょう。
単純化したモデルで
Z店
売上予算12000 利益予算23% 在庫予算6000 という店があるとします。
このお店で、原価20の商品Yが50個送り込まれたとします。各予算に見合う売価と販売日数はどうなるでしょう。
考え方
店の交叉比率予算=0.23×(12000÷6000)=0.46
Yを39の売価で売る時 利益率48.7%
交叉比率=0.487×回転率=0.46
回転率=0.46÷0.487=0.94
営業日数を仮に30日とすると在庫日数=30÷0.94=31.9 31日で売らなければならない
Yを29の売価で売る時 利益率31.0%
交叉比率=0.31×回転率=0.46
回転率=0.46÷0.31=1.48 在庫日数=30÷1.48=20.27 20日で売らなければならない
売価を決定すると、利益率が決まり必要な回転率・営業日数が決まります。この期間で売れなければ、
売上・利益・在庫のいずれかに悪影響を与えます。必要な在庫日数にあった、陳列・販促をしましょう。
※実際には、多くの要因が影響します。交差比率が高いから良い・低いからだめと単純な判断はできません(商品特性・仕入頻度などにもよりますので)、参考値として最低限この期間には現金に変えなくてはならないと意識して売場を作り。途中で売れ数のチェックしたりして、商品の回転スピードを高めていきましょう。
※交叉比率で回転率を売価ではなく原価で計算すると「GMROI」という数字になります。主に商品部で使われる方式です。計算方法は似ていますが、思想の全く違う数字ですので、そんな数字もあるんだなぁくらいでいいと思います。
何の本でもいいので、お店の数値についての基礎本を通して読むと流れで理解しやすくなります。
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